私が小学校の4年生の頃だったと思います。
ある日学校から帰ると、母が唐突に「あなたは、友達の悪口を言わないから素晴らしい」と言いました。いつも厳しい親から、そんなことを言われたので明確に記憶しています。
自分では自覚がなかったので、その時「へぇ、(自分は)そうなのか」と単純に聞き流していましたが、滅多に褒めることのない親から、そう褒められたので、自分でもそういう人間であろうと心がけたのは事実です。
旧師範学校を卒業したバリバリの教育者であった母親は、後から振り返ると、私が人の悪口を言ったのを聞き、「そんな事を言ってはいけません!」ではなく、一ひねりを加えたのではないかと思い当たります。
その後の私が、その期待に応えるべく、人の悪口を一切言わない人生を送ることができているのは、母親の見事な教育効果だと言わざるを得ません。
学校や社会では、自分の思い通りにならないこともあり、時には不条理なことも起こります。愚痴を言ったり、自分を正当化する悪口を言ってみたくもなります。
それを、真正面から正論で「ダメ」出しされたら、素直に聞く気にもなりません。
また、逆に親の方から寄り添ってきて、一緒に「君の気持ちを理解してあげる」と同調されるのも、また鬱陶しいことですし、余計なお世話です。
現在、小学生や中学生の「親」を役割としておられる皆さまには、大人として、次世代の大切な宝物を神様からお預かりしているという自覚で、子育てをしてください。
お子様は、いつまでも子供ではありません。すぐに大人として社会に出て行きます。
工夫や見通しもなく、ただ愛情を込めて食べさせているのは「飼育」といって「教育」ではありませんね。
子どもが立ち止まって考えて、人生の教訓として自分のものにさせたお母さまは本当に真の教育者でしたね